マスターカードでは、指紋認証機能を搭載したクレジットカードを2017年中に導入すると発表しました。発端は2014年にマスターカードとZwipe社が提携したことからスタートしています。現在は、南アフリカで試験運用中です。
うまくいけば、欧州やアジアへ展開されるようです。
そこで、今回の記事では今年中にも展開予定の、クレジットカードに搭載される指紋認証システムがどのようなものか、解説していきたいと思います
目次
クレジットカードの指紋認証システムの特徴
クレジットカード本体上で指紋認証を行う
これが一番の特徴だと思うのですが、あなた自身の指紋情報はクレジットカードに登録されるばかりでなく、指紋認証自身もクレジットカードの上で行うのです。
まず、クレジットカードをリーダーにかざすと、クレジットカード内に電源が供給され、IC回路が起動します(図中の1の状態)。
この状態で、あなたがクレジットカードリーダーの所定の場所に指を置くと、クレジットカードがあなたの指紋を読み取ります(図中の2の状態)。
もし、登録された指紋とかざした指紋が一致すれば、認証は完了し、クレジットカード自身がリーダーへ支払いの許可信号を送信します(図中の3の状態)。
かくして、クレジットカード払いが完了します。電子マネーの技術を応用しているのですが、指紋認証にも使われる点が画期的ですね。
クレジットカードリーダー側の対応が原則不要
指紋認証という新しい技術を導入する以上、カードリーダー側も対応しなければならないと思いきや、そんなことはありません。クレジットカードリーダーは既存のものをそのまま使えるのです。
これにより、クレジットカードの指紋認証は比較的早いペースで広まることが期待出来るのです。
合っていたら、クレジットカードは支払いの許可をカードリーダーへ送信するのです。指紋認証に関しても、カードリーダーへ支払いの許可信号を送信しているため、既存のカードリーダーが使えるのです。
ちなみに、クレジットカードをスワイプして支払う形のカードリーダーへ指紋認証は使えません。ただ、スワイプして支払う形のカードリーダーはセキュリティに大きな問題を抱えているため、今後は消えて無くなる運命にあるかと思います。
対応されることは無いでしょう。
登録可能な指の数は2本まで
指紋といっても指によって異なります。指紋を採取した指はどれだっけな、となるリスクを減らすために2本まだ登録できます。迷ったら、利き手の人差し指と中指を登録しておけば間違いありません。
ただ、指10本全部登録しないのは後述する安全性を保つためだと思われます。あまりやりすぎると、他人の指でも指紋認証が通ってしまう確率が上がってしまうのです。
指紋認証の問題
セキュリティ上の問題が完全に無くなる訳ではない
指紋認証も完全に安全な認証方法ではありません。iPhoneに搭載されている指紋認証は5万人に1人程度の確率で他人の指紋でもロックを解除できてしまいます。
更に大学の研究では、マスター指紋といって、どんな指紋認証システムでも通過できる指紋について研究が行われております。
暗証番号よりは安全というだけで、いつか指紋認証が安全な技術で無くなる日も来るかと思います。
クレジットカードにはあなたの指紋がべったり付く
今や、指紋を確認する技術自体は当たり前に存在していますので、クレジットカードに付着している指紋も簡単に見ることができます。
クレジットカードについている指紋の大部分はあなたのでしょうから、認証のキーとなる指紋は簡単に採取されてしまいます。
その指紋が付いて手のモデルは今なら3Dプリンタなどで容易に作れてしまいそうですよね。
クレジットカードの指紋認証が普通になったら、認証を突破するためにこういった悪い技術も発展していくのです。指紋認証自体ちょっと怖いな、と私自身は思ってしまいます。
他ブランドの動向
VISA、American Express、Diners Clubでは、指紋認証対応のクレジットカードについて、発表を行っておりません。
しかし、JCBでは静脈認証対応のクレジットカードについて研究開発が行われています。静脈認証では、あなたの手の中の血管をスキャンします。
指紋と異なり、クレジットカード上には静脈情報は残らないので、こちらの方が将来的には普及するのではないかな、と思っています。
まとめ
いかがでしたか。クレジットカードの指紋認証についてまとめました。今後、指紋認証自体は暗証番号による認証よりも優れた技術だ、ということでそこそこの割合で普及すると思います。
ただ、技術は日進月歩ですので、指紋認証自体万能ではありません。今後も認証手段として何がスタンダードとなるのか注視していきたいと思います。
今回は以上となります。
参考までにクレジットカードのスキミングについて紹介します。こちらはクレジットカード裏面の黒い部分に印字された情報を抜き取っているのですが、裏ではスキミング用の機器が多数売買されているのです。実情をこちらの記事にまとめましたので、良かったら、参考にしてみて下さい。